
作品内容




プロローグ
眠りに落ちる、その瞬間だった。
ふわりと、意識が浮かび上がる。
紫色の霧と、降るような星屑。ここは、夢の中。
気づけば、左右から、誰かに挟まれていた。
右で、涼やかな声。左で、甘えた声。
そっくりな顔の姉妹が、両側からぴったりと、添い寝している。
「見つけたわよ」
「見ーつけた♡」
逃げようと、身をよじる。でも——両側、塞がれている。
右の耳に、姉の囁き。左の耳に、妹の吐息。
別々の声が、鼓膜を越えて、脳の奥まで滑り込んでくる。
「キミの左脳は、私のもの」
「あなたの右脳は、あたしのもの〜♡」
……なにを、言われたのか。
理解が追いつかないまま、頭の芯が、とろけていく。
怖い。戻れないかもしれない。
なのに、目を、開けられない。
だって——このまま、ふたりに預けてしまえたら、どんなに、楽だろう。
右と左、別々の声に。
じわじわと堕とされていく。
